常任指揮者 菅井寛太インタビュー Vol.2 1万人の第九とフライハイト

常任指揮者の菅井寛太氏にフライハイト・コーアのスタンスや今後に向けての思いなどを聞きました(前編)

菅井寛太

フライハイト・コーア常任指揮者
東京藝術大学同声会終身会員
プロフィール詳細

 

1万人の第九とその後

日本最大級の合唱イベント“サントリー1万人の第九”は、小学一年生から参加可能。最高は90代まで、本当に幅広い年齢層が共に歌う機会です。

「日本の合唱は、各年代ごとの活動は盛んなのですが、なかなかそれらにつながりがないのが残念なところです。例えば、学生の頃は歌っていたけど、“1万人の第九”のような機会があることで、久しぶりに歌ってみようかなと思った方や、初めて取り組んで合唱の魅力を感じてくださった方に対して、Freiheit Chor(フライハイト・コーア/以下 フライハイト)が、その続きとなっていく存在になっていく可能性があるのではないかと思っています。

音楽性などから、年齢や経験による制限やオーディションを設けている合唱団も多いですが、フライハイトには特に制限はありません。(パートごとの音のまとまりを考える上で、ソプラノだけ事前に声を聴かせていただくようにしています。) 皆さんとかく『発声』を意識すると思いますが、音を揃えていく中では、音取りやリズムなど、発声の前にすることはいろいろあります。まずは『歌い方』を理解していくことなんです。

現在のフライハイトは40、50代が中心ですが、みなさん若いです。声も若い。もう少し高齢の方が多いクラスだと遠慮するような内容も、飲み込みがはやいので何を言っても大丈夫という安心感があります。合唱経験が少ない方も多いですが、逆にそこが柔軟性につながっていると思います。」

フライハイトのこれから

当初は1万人の第九のクラス有志からはじまったフライハイトも、メンバーの紹介などもあって順調に人数を増やしています。2020年2月の第一回記念公演を前に、8月には初めての夏合宿を開催予定です。夏合宿では、第二回公演でこんなものをやりたい、という候補曲の提示も予定されています。

「こんな伸びで人数が増えていくとは思っておらず、正直なかなかペースについていけないこともあったのですが、合宿では時間もあるので、皆さんとゆっくり話ができるのが楽しみです。適正な距離感は意識しますが、僕はわりと『ひとりひとりを知っていたい』タイプなので。もちろん指導者によっては、全く関わらない方もいらっしゃいますので、どちらがいいということではありません。

300人の第九のクラスの時にひとりひとり意識したら身体がいくらあっても足りませんが、今くらいの人数だとよくわかってきます。その意味では、現在(60人程度)は適正人数かもしれませんが、一方でもっと増えたら、新たにできるようになることもあるので、その時々の状況にあわせて考えていこうと思っています。」