常任指揮者の菅井寛太氏にフライハイト誕生から、第一回記念公演「メサイア」に向けての思いなどを聞きました(前編)
菅井寛太
フライハイト・コーア常任指揮者
東京藝術大学同声会終身会員
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フライハイト誕生まで
Freiheit Chor(フライハイト・コーア/以下 フライハイト)は2018年2月に結成されました。
当初は、2017年12月の“サントリー1万人の第九”の練習クラスのうち、中野クラスで菅井寛太氏のレッスンを受けたメンバーからの声掛けがきっかけでした。
「1万人の第九の指導は6,7年になります。300人くらいがホールに集まって練習するのですが、最初の頃はその状況だけでもプレッシャーでした。大きなイベントでお祭りのようなところもあり、毎回皆さん年末に向けて盛り上がっていく中で、特に2017年の中野クラスは、なにより真剣に取り組んでくれて反応も良く、すごくうれしかったことを覚えています。」
本番後も、穏やかで的確、そして懐深い指導を受け続けたいという声が集まり、合唱団の結成が現実のものとなっていきます。
「合唱団をやりませんか?という声は以前にもありましたが、なかなか形になることはありませんでした。自分自身そこまで強く思ってはいなかったのかもしれません。描いていたイメージもあったのですが、実際にはどのくらい人数が集まるかもわからないので、どうしても頭でっかちになってしまいます。とにかくまずは一回集まってみよう、という話から、月に一回程度集まるようになっていきました。場所は第九のクラスの方々が集まりやすいエリアで選んでいます。実は練習会場の中のひとつ、杉並公会堂を教えてくれたのはピアノの加藤先生です。」
1万人の第九のクラスでも一緒に指導しているピアノの加藤先生は、フライハイト結成の話を聞き、自らお手伝いに名乗り出てくれたそうです。
初回公演は『メサイア』で行こう。
「僕自身、公演では『メサイア』をやりたいという気持ちはありました。でも、まずはいくつか曲に取り組んでみて、考えようと。」
第一回公演の演目として選ばれたヘンデルの『メサイア』は合唱ファンに愛されつづける大曲。まずはどのくらい歌えるのか、団の現状把握から始まりました。
「唱歌や、ドイツミサなどいろいろな曲を試していくと、わりとしっかり歌えたなという印象で、団のポテンシャルを感じました。これならメサイア行けるんじゃないかな、と思ったんです。大曲でタイミングもあるので、正直なところ今回見送っても、次にいつできるかはわかりません。なら最初にちょっと苦労してもいいから思い切ってやろうと舵を切りました。」
“1万人の第九”で初めて本格的な合唱に取り組んだメンバーも少なくない中、大曲へのチャレンジは簡単ではなさそうに感じますが・・・
「フライハイトは皆さん意欲的ですし、声の質というか、そのものがいいんです。経験者は少ないですが、僕自身そのことはあまり感じていません。時間的に、もし今から来年2月の公演に向けて参加されるという場合は、できれば合唱経験がある方がありがたいですが、それ以降であればもちろん未経験の方も歓迎です。
今回の初回公演は、当初3月~5月くらいの春先で考えていたのですが、希望した会場が全然取れずにいた中、たまたまキャンセルがあって今年2月に現日程が確保できました。メサイアの練習は前年から始まっており、なんとなく目標が見えないままふわふわしていたのですが、そこで一気に気合が入りましたね。僕自身も変化したと思います。
今はひととおり音取りを終えて、弱い部分をやり直しています。自分の中で公演までの設計図が出来上がっていて、そこから逆算しているような感覚です。不足していることはパートごとに追加練習を組むこともあるかもしれません。いろいろ大変かもしれませんが、来年この公演を終えた時にはきっと新しい絆が出来ているだろうと思います。」